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大きな瞳に映るのは
第22章 彼の思考回路

いつもと同じ様に時間は過ぎ
金曜日が訪れた。
あれから遙からの連絡は一切無し。
奏先輩とは学校で何度か会話を交わす程度だった。
『 木下さん、コレ視聴覚室まで運んでおいてくれる? 』
日直だった私は、昼休み前の授業の終わりに
生物の担当の先生に資料を運んでおくように頼まれた。
教卓の上に山積みになった資料を手に取ると
どしっとした重みが両腕にかかった。
「 … おも、」
苦笑いしながら両手に資料を抱える。
『 キノちゃん大丈夫?俺も手伝おうか? 』
クラスメイトの岡田君が
心配そうに声を掛けてくれる。
席が前後だったこともあってか
彼はよく気を利かせてくれていた。
「 ううん。たまには筋トレしなきゃねっ 」
笑いながら返事をすると
安心したように彼も笑顔を見せてくれる。
よし。と再び気合いを入れ直し
視聴覚室へ向かった。
この教室は4階にある。
視聴覚室への最短ルートは
1階下の2学年のクラスが並ぶ廊下から
渡り廊下を抜けて別棟に移り1階上に上るのが最短だった。
階段で1階降り2学年のクラスが並ぶ廊下を
急ぎ足で抜ける。
急ぎ足で。と階段を下り廊下を曲がった途端
ドンッ …
「 … ったぁ 」
お得意の追突事故を起こしてしまった。

