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大きな瞳に映るのは
第23章 関係
― … 聞きこんでたから
そう言いながら自分の耳を指差す遙
そこでやっと理解する。
きっと遙は、特別な耳を持っているんだ、と
『 聞けばだいたい、いけるよ 』
『 ドラムもほとんど。耳コピ 』
私はそう淡々と話す遙が
本当に羨ましくて。
本当に魅力であふれていて。
自分にはそんな魅力
これっぽっちもなくて。
だからきっと遙に惹かれていて。
『 … 音夢? 』
顔を覗き込む遙は本当に可愛らしい表情で。
やっぱりこんな魅力あふれる人を
離したくない。
『 飯、何食いたい? 』
「 … 遙の得意料理 … 」
『 和?洋?中華? 』
「 … 洋 … 」
『 わかったよー。だから拗ねんな? 』
まるでわがままを言う子供の様な扱いをされる。
そんな筈じゃなかったんだけどな、なんて。
ぽんぽん、と優しい手が
私の頭を撫でる。
遙は椅子から立ち上がると
『 じゃあ作るから 』
といってその部屋から出て行った。
静まり返る部屋。
さっきまで遙が座っていた椅子に腰かけ
鍵盤に指を落とす。
少し、落ち着こう。
遙にはちゃんと話したい。
自分の気持ちを。
だから少し落ち着こう。
そう思い一曲弾いてキッチンへ向かった。