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大きな瞳に映るのは
第24章 秘密



いつも通り、バスタオルで身体を拭き
遙に借りた寝巻に着替え髪を乾かす。

痕一つない首筋を見て少しだけ寂しくなる。


髪を乾かしリビングへ戻ると
遙の姿はなくテレビも消えていた。


( … あれ? )

不思議に思い寝室を見るが姿はない。
ハッとしてピアノの部屋の扉を開けると
練習真っ最中の遙の姿があった。


『 あ、でた? 』

ピタリと手を止め私の方を見る。

『 ごめん、もうちょっと 』

そう言うと再び遙の視線は譜面へと移り、鍵盤に指を落とした。


私は遙の近くに置いてあった椅子に腰かけると、練習中の遙の様子をじっと見つめた。


いつにも増して真剣な表情
大きな瞳はしっかりと譜面を読み
そして自分の指先に向けられる。
時折わからないところがあると
ん?と首を傾げ譜面を見直し再び視線を落とす。

練習初日とは思えないほどの飲み込みの力で
譜読みを進めていく彼に、
再び魅力を感じる。


細くしなやかな指先
しかし細かいスピードのある動きにも
ちゃんと順応しているその指に
憧れを感じる。


なんとか掴めた様子で冒頭から再び弾き直す。

愛の夢を弾いていた時とは違う表情を見せる遙。

少し眉間にしわを寄せつつ
口先をとがらせる。
譜面を読み直したせいなのかミスタッチが目立つ。
きっとまだ理解しきれていないんだと
その表情から伝わってくる。


ピタッと演奏を止めた遙


『 あーーーー!わかんねーーーー! 』


嘆く様に鍵盤から手を離す姿に
思わずふふっと笑みが零れた。

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