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大きな瞳に映るのは
第25章 勘
ヘルメットを被り先輩の背中にしがみつく。
行先は学校でお願いしますと伝えた。
『 しっかり掴ってなよ。』
そういうと、物凄いエンジン音と共に
バイクが走り出す。
直で浴びる夏の日差しは痛いほどに暑かったが
走っているよりかは、マシに思えた。
「 先輩、本当すいません 」
赤信号で停止中に先輩に声をかける。
『 気にすんなってー!困ったときはお互い様! 』
そう言って再び走り出す。
『 それよりかキノちゃん連絡くれてないだろ! 』
その言葉にハッとする。
確かに楽器店で会った時に連絡先をもらったが
あれから一度も先輩に連絡していなかった。
「 あれ?でも私も連絡先渡しましたよね …? 」
えー?何?と先輩が声を張る。
バイクの音で私の声がかき消されているようだった。
先輩が運転するバイクは
あっという間に学校に着き
校門のところで降ろしてもらった。
「 本当助かりました … ありがとうござ …
『 いいっていいって!急いでんだろ? 』
その言葉に奏先輩の既読無視が蘇り
背筋がひやっとする。
『 また俺から連絡するから! 』
そう言ってヘルメットを被り直した先輩は
じゃ、また!とバイクを発進させ、去って行った。
一応ながらもその後ろ姿を見送り
校門から生徒会室までの距離を
全速力で駆け抜けた。