この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第25章 勘
奏先輩が案内してくれたのは
駅前通りからすぐ
細い路地を曲がったところにあった。
カントリー調のそのお店は
まるで隠れ家のようだ。
木目の美しい扉を開けると
店内の涼しい空気がふわりと身体を包んだ。
いらっしゃいませ、と可愛らしいお姉さんが
席へ案内してくれる。
『 本日のおススメは … ― 』
メニューを開き店員さんがおすすめメニューを紹介してくれる。
終えると、一礼してから席を離れて行った。
『 木下さん、どうしますか? 』
メニューを私の方に向けて見せてくれる。
こういうさり気ない所は遙と全然違うなぁ、と。
「 あっ、じゃあ私このおススメので … 」
写真を指差すと、奏先輩がオーダーしてくれた。
『 … ところで 』
店員さんが去った後、すぐに奏が口を開く。
『 今日、本当に寝坊ですか? 』
やっぱりその話かぁ、と心の中で嘆く。
普段テレビを見ない私が深夜にテレビを見ていた
なんて話してもきっと信じてくれないのだろう。
「 … 寝坊です 」
申し訳なく俯きながら小さく答えると
奏は、はぁ、と小さく溜息をついた。
『 実は、音夢に聞きたいことがいくつかあるんですよ。』
いきなり名前を呼ばれたせいか
心臓がドキリとする。
奏を見ると、肘をつき両手を合わせ
口元に添えながら、私をじっと見つめていた。