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大きな瞳に映るのは
第25章 勘



奏先輩が案内してくれたのは
駅前通りからすぐ
細い路地を曲がったところにあった。

カントリー調のそのお店は
まるで隠れ家のようだ。

木目の美しい扉を開けると
店内の涼しい空気がふわりと身体を包んだ。


いらっしゃいませ、と可愛らしいお姉さんが
席へ案内してくれる。


『 本日のおススメは … ― 』

メニューを開き店員さんがおすすめメニューを紹介してくれる。
終えると、一礼してから席を離れて行った。


『 木下さん、どうしますか? 』

メニューを私の方に向けて見せてくれる。
こういうさり気ない所は遙と全然違うなぁ、と。


「 あっ、じゃあ私このおススメので … 」

写真を指差すと、奏先輩がオーダーしてくれた。


『 … ところで 』

店員さんが去った後、すぐに奏が口を開く。

『 今日、本当に寝坊ですか? 』

やっぱりその話かぁ、と心の中で嘆く。
普段テレビを見ない私が深夜にテレビを見ていた
なんて話してもきっと信じてくれないのだろう。


「 … 寝坊です 」

申し訳なく俯きながら小さく答えると
奏は、はぁ、と小さく溜息をついた。


『 実は、音夢に聞きたいことがいくつかあるんですよ。』


いきなり名前を呼ばれたせいか
心臓がドキリとする。
奏を見ると、肘をつき両手を合わせ
口元に添えながら、私をじっと見つめていた。


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