この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第25章 勘
「 おいしかったぁ … 」
想像以上の味と満腹感に
思わず満面の笑みになる。
それを見た奏は、ふふっと小さく笑った。
食事を済ませ店を出た私は
奏の『 行きたいところ 』に行くために
奏に歩みを任せていた。
きゅっと奏の右手を握ると
それに応えるように
きゅっと握り返してくれる。
そんな些細なことで
胸がきゅんとして、ふふ、と笑みが零れる。
『 今から行くところ … 』
奏が口を開き私を横目で見る。
並んで歩くとやっぱり背が高い。
『 俺の家です 』
「 … へっ? 」
まさかの場所に思わず情けない声が出る。
『 親、旅行に行ってるんです 』
その言葉に心臓が跳ねる。
( これって… よくあるお泊りのお誘い …?! )
今まで何度か身体は重ねてきたが
そこは教室だったりホテルだったり
彼と一晩共にすることは今まで一度もなかった。
「 えっと … それって …
『 今日は帰したくないんです 』
サラッと言葉にする奏を前に
驚きと恥ずかしさでおもわず俯いた。
こんな道端でそんな台詞を吐くなんて。