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大きな瞳に映るのは
第25章 勘



「 おいしかったぁ … 」

想像以上の味と満腹感に
思わず満面の笑みになる。
それを見た奏は、ふふっと小さく笑った。


食事を済ませ店を出た私は
奏の『 行きたいところ 』に行くために
奏に歩みを任せていた。

きゅっと奏の右手を握ると
それに応えるように
きゅっと握り返してくれる。


そんな些細なことで
胸がきゅんとして、ふふ、と笑みが零れる。



『 今から行くところ … 』

奏が口を開き私を横目で見る。
並んで歩くとやっぱり背が高い。

『 俺の家です 』

「 … へっ? 」

まさかの場所に思わず情けない声が出る。


『 親、旅行に行ってるんです 』


その言葉に心臓が跳ねる。

( これって… よくあるお泊りのお誘い …?! )

今まで何度か身体は重ねてきたが
そこは教室だったりホテルだったり
彼と一晩共にすることは今まで一度もなかった。


「 えっと … それって …

『 今日は帰したくないんです 』


サラッと言葉にする奏を前に
驚きと恥ずかしさでおもわず俯いた。
こんな道端でそんな台詞を吐くなんて。


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