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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女
どうやら本当に遙はお風呂に入りに行ったらしい。
女子を家に上げといてなんという奴だ。
そこいらの女子なら完全にその気になるやつだ。
「 はぁ … 」
まぁ仕方ないか、とため息を一つ。
そして目の前の鍵盤に指を落とす。
狭い空間に綺麗な音が広がる。
これはいい。この空間最高じゃないか。
( ふふっ… )
思わず笑みが零れだんだん楽しくなってくる。
時間にとらわれずこんないい音を聞けるなんて本当に遙はずるいなぁ。妬ける。
夢中になって弾いていると
ふわっと石鹸の匂いがした。
「 へ …? 」
手を止めてハッと我に返る。
顔をあげ香りのする方を見上げるとまだ髪が濡れている遙がそこに居た。
「 いっ … いつからいたのっ … ?! 」
『 ちょっと前 』
白いタオルで髪をわしゃわしゃとふきながら私を見る。
火照った頬が色気を出している。
『 結構、いいじゃん 』
まぁ、俺の方がいい音出すけど、
と言いたそうな顔で
私の方を見てニコリと微笑む。
見慣れない風呂上がりの姿に少し恥ずかしくなる。
「 あ… ありがと。 」
思わず俯く。
『 … 木下 音夢 』
「 ん …ー ? 」
少しの沈黙の後名前を呼ばれた。
いつも通り顔をあげたその時
… チュ
( … は?)
遙の唇と私の唇が重なり合った。