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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女
( … は?)
一瞬何が起きたかわからず目を見開く。
少し憧れを抱いていた遙の顔が間近にあり状況を理解する。
チュ … ッ チゥ
遙は 優しく啄むように何度も唇を重ねる。
不覚にも とろけそうになる。
心臓が一気に爆発しそうで瞼をぎゅっと閉じる。
… チュゥ … クシャ
ゆっくりと唇を放した遙は私をまっすぐ見つめ髪を軽く一撫でした。
「 はぁっ … 」
緊張と心臓の高鳴りで息が切れる。
『 結構、可愛いとこ、あんじゃん。 』
そう意地悪な笑みを零す。
わたしの大事なファーストキスはこいつに持っていかれた。
「 は … はじめてだったのに … 」
『 え ー? なんて? 』
「 … はじめてだったの!! 」
恥ずかしさと同時に少しずつ怒りが込み上げる。
欲求不満じゃないという言葉を信じた私が軽率だった。
いやでも、遙には彼女がいるのに、こいつが悪い。
『 … まじで? 』
大きな瞳をパチパチさせる。
こんな嘘をついて何の得になるっていうんだ。
「 … 帰る。 」
ガタッ
だんだんと湧き上がる苛立ちを冷静に抑えようとしながらも、椅子から立ち上がると自分の荷物を手に取り一目散に玄関の方へ歩いた。