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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女
「 … っ 」
その声に不覚にも身体がビクリと反応する。
『 おい進藤、何やってる 』
私の背後から聞き慣れた声がした。
カラカラと車輪の音が近づく。
後ろに目をやると遙が立っていた。
『 一之瀬じゃん。どーしたのこんな時間にー
あー 彼女とヤりにきてたー? 』
からかう様に私を抱きしめたまま
進藤と呼ばれた彼は遙を見て言った。
『 んな事より、お前こそ新しい女? 』
『 … そっ。今から初めてのセックスってやつ? 』
「 … はぁ? 」
思わず声が出る。
誰がいつお前と付き合うなんて言ったんだ。
『 ぷっ … 』
いきなり遙が吹き出す。
『 そいつ処女なの? 』
おかしそうに笑いながら私を指差す。
知っててからかっているのを察知した。
『 そ。いいだろ?ま、一之瀬にはやんねぇ…
『 ね、そいつ、頂戴。 』
「『 …は? 』」
私と進藤が目を見開く。
『 だから、そいつ、頂戴って言ってんの。 』
『 ざけんな、お前には麗先輩がいるだ…
グィッ
言い終わらないうちに遙は私の身体を引き寄せ
進藤の胸ぐらに掴みかかった。
遙の方が若干ではあるが背が低いように思えた。
『 ぶっとばされたいの? 』
一瞬誰もが ヒヤッ としそうな冷酷な声を出す遙。
いつも少年のように笑う笑顔とは裏腹に
殺人でも犯していそうな狂気的な表情をしているように思えた。
『 … チッ 』
言葉を失った進藤は舌打ちを一度だけこぼすと
眉間に皺を寄せ不満そうな表情で立ち去って行った。