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公衆便所から始まる
第5章 カウンター
バーなんて入ったこともなくて、俺は若干おどおどしながら高いカウンターの中に立たされる。

「あ、ゆっきー新しいバイトくん?」

俺と同い年ぐらいか。
店内にはめちゃめちゃ明るい声の男性が一人。テーブルに座ってたのを立ち上がってカウンターに座り直す。

「まぁそんなもん。じゃ、続きしよっか輝」
「へっ!?」

お客さんの目の前なのに変な声が出た。
続きって……

「なになに? 続きって。ねぇ、輝ってゆーの? 紹介してよー」

無邪気に話しかけてくるお客さん。
この人どんな人なんだ? この変態バーテンダーとどんな関係なんだ?
俺は後ろから腰に巻き付いてくる有紀人さんの手と戦いながら、必死に頭を巡らす。

「香川さん、俺忙しいんで、この子の相手しててもらえます? じゃあ輝、ここのグラス洗ってね」
「は? なにゆって……」

有紀人さんは俺に微笑むと、香川さんがスマホに目を落とした隙にすっと足元にしゃがみこんだ。
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