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月の吐息
第2章 満月

こんなイケメンに”オススメ”を作ってもらえるなら、それだけで誕生日プレゼントを貰った気になれる。
脚を組み直して、彼がお酒を作る姿をゆったり眺めた。
左手の薬指に指輪が無いことを確認していたら、あっという間に青いカクテルが差し出される。
「どうぞ。マリブサーフです」
「ありがとうございます」
イケメンは、グラスの差し出し方もイケメン。
細長いカクテルグラスを傾けて一口飲む。
甘さに頬が緩む。ふわりと、ココナッツの香りがする。
「南国っぽいですね。美味しい」
「そうですね、サーファーがビーチで飲むイメージのカクテルです」
バーテンの指が、グラスの端に添えられたレモンを指さした。
「レモンを入れても美味しいですよ」
「・・・あ、ほんとだ」
「時々うちに顔を出してくれる常連さんが、好きな女性がいるって話してくれたんですが、その方の誕生日が明日らしくて」
「え?」
それって・・・。
うぅん、まさかね。
「明日のお祝いに、お出ししようと思っていたんですが、女性の感想をお聞きしたかったんです。すみません、本来は、明日お出しするカクテルでしたが」
申し訳無さそうに言うバーテンに、「いえ」と首を振った。
うまく笑えたかな。何か、偶然すぎて、ちょっと恐い。
まぁ、同じ誕生日の人も、いるよね。
私も同じ誕生日、とは言えないまま、飲みやすいカクテルを楽しんでいたら、
暫くして、店内の照明が柔らかく変化して、ピアノの生演奏が始まった。

