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月の吐息
第3章 雲隠れ

「最近、ちょっとハマってる曲があります。
"Moon River"、月の川という名前の、この曲を、今宵のお客様に、今日は、歌と共に、お届けします。
途中に、"虹の終わり"という単語が出てくるんですが、昔から、虹の端には黄金が眠っているとか、虹の彼方には幸せがある、とか言われているそうです。
だから今日も、"幸せの宿る場所"を考えながら、この曲を皆様に捧げます。
聞いてください。Moon River」
初めて聞く、ピアニストの女性の声は、
透き通っていて、優しくて、
歌い出すと温もりを感じて、凄い素敵だった。
周囲の拍手にはっとして、慌てて私も拍手をする。
「聞き入ってましたね」
イケメンに見られていたらしい。不覚。
「ちょっと、好きな曲で」
「そうですか。じゃあ、今日の来店は、いいタイミングでしたね」
曲だけじゃない。イケメンと楽しく会話できるってだけでも、十分、いいタイミング。
「もう1杯、いかがですか?」
店内の客は、もうまばらだったけど、明日は土曜日だし。
この人がすすめるなら、2杯目、飲んじゃおうかな。
「じゃあ、何か頂きます」
大分、酔って、気持よくなってる。とろんと微笑むと、イケメンが「あぁ」と声を上げた。
「とっておきを、お出しします」
え、何?

