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月の吐息
第2章 満月
■満月■
1週間は案外長い。
あれから、まだ3日。
もらったネックレスの箱を開けたり閉じたりして、今夜も睨めっこしている。
そろそろ寝なきゃ、と思うのに、横になっても寝付けやしないから、開き直って電気も付けた。
光を反射する、不思議なデザイン。
月と星が組み合わさったみたいな、目を奪われる綺麗なネックレスだ。
―――正式に・・・プロポーズしたいんだ
―――一番、大事な距離にいたい
「あー、もう!」
仕事にも身が入らなくて、今日は、普段ならしないような変なミスをした。
全部、健二が悪い。怒鳴ってやりたいけど、あいつは国外逃亡中。
悔しくなって枕を殴ってみる。
「・・・いつ帰ってくるんだっけ」
壁にかけたカレンダーを見れば、先月のままだった。
仕方なくベッドから降りてカレンダーを捲る。
「あ」
明後日、私、誕生日だ。