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講義の終わりにロマンスを
第3章 変装と女心




■変装と女心■




月曜日は、朝から落ち着かなかった。


教室の後ろのロッカーに押し込んだ紙袋には、例のワンピースと化粧道具を入れた小さなポーチ、これもお母さんから勝手に借りたハンドバック、赤いハイヒールとストッキングが入ってる。まだ夜風が肌寒いから長めのボレロも入れた。


こんなこと、初めてやるから、順番もセオリーも分からない。
でも、やるなら今日しか無い。
明日の昼には、両親が旅行から帰ってくる。
それに、明日は先生が来る火曜日だ。


今日を逃したら、また単なる教師と生徒。
普通の日々が続くだけで、きっと一歩は踏み出せなくなってしまう。
だから、今日こそが大切な日。そんな気がしてた。









スクールバスが駅について、私は先生を見かけた、あのファーストフード店に入った。
トイレに入り、個室で服を着替えると、脱いだ服と通学鞄を紙袋に入れる。
洗面台で化粧を整えて、一度くるりと回って自分の姿を確認した。
眼鏡だけはギリギリまでかけていこうと思って、黒フレームの、いつもの眼鏡はかけたままだ。


今日は7時間目まであったから、もう17時半。


急がなくちゃ。


私は程よくウェーブのかかった髪を揺らしながら、ファーストフード店を出ると、紙袋を駅のロッカーに預けた。
眼鏡を一度押し上げて、急いでビルに向かった。


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