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講義の終わりにロマンスを
第4章 決戦の金曜日
真面目で大人しい子がキレると大変なことが起こる。

そのセオリーを絵に描いたような展開に、小鳥遊がテーブルにぶつかりながら、呆けたように立ち上がった。

2人共、相手の顔を穴が開くほど見つめたまま、動けずにいる。





先に反応したのは真菜だった。

先程よりも盛大に、可哀想なくらい耳まで赤くなると、俯いたまま、震える指で鞄を拾う。

スクールバッグにぶら下がるマスコットが激しく左右に揺れている。

「・・・・」

緩慢な彼女の動きを、小鳥遊が視線で追いかける。





「あの・・・、か、帰りますっ!」





強烈な勢いで頭を下げる彼女の姿越しに、小鳥遊が異変に気付く。

反射的に靴先にぶつかっていたネームプレートを拾うと、その背中を追う。





「真菜ちゃん、待って!!」





焦ってエレベータ前へ戻った彼女の頭上で、エレベータの階数表示が動き出していた。

7階で止まっていたエレベータはゆっくりと下へ降りて行く。

小鳥遊がバッと振り返り、BARの時計を確認した。

午後3時15分。佐々木の出勤時刻だ。

(まずい!)

泣きはらした真菜の顔を見て、小鳥遊は彼女の手を掴み、急いでトイレへ引っ張った。



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