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兄の狂気
第2章 嫉 妬







「瞳」


いつも、優しくあたしを呼ぶお兄ちゃん。


頭がよくて、いつも分からない問題を
つきっきりで分かりやすく教えてくれたり、
いろんな相談に乗ってもらったり。


大好きだった。


その「大好き」がやがて形を変えていくという事は、
まだ知らなかった。


ただ…そんな大好きなお兄ちゃんに
ちょっとだけ嫌なところがあった。


それは。


あたしが高校生、お兄ちゃんが大学生の頃、
お兄ちゃんはよく、あたしが寝たのを確認して
家を出ていき、次の日の朝に帰ってきていた。


お兄ちゃんは


「居酒屋のバイトに行ってる」


っていつも言ってたけど…


ほんとは女の人とラブホテルに行ってて
そこから帰ってきてるって事、あたしは気づいてた。


だってよく、お兄ちゃんの鎖骨に
あたしも彼氏から付けられるキスマークがあるし、
近付いたら女物の香水の匂いがするから。


あたしが高校2年になるとそれはエスカレートして、
毎日夜に出ていって朝、
香水の匂いを漂わせて帰ってきていた。


…更に。


「お兄ちゃん彼女出来たんでしょ?
どんな人か知りたい、会ってみたいな」


そう言うと、


「何言ってんの、彼女なんて出来たことねぇよ」


なーんて言われて。


「俺はいつも瞳のことしか考えてねぇから」


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