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兄の狂気
第3章 誘 惑







「やっべー、俺キスしたんだった!」


ガタン!


思わず叫んで立ち上がり、


…我に返った。







「…いつまで笑ってんの、ねぇ」


腹抱えて笑ってる翔太と花村さんを、
突っ伏してた顔を上げて睨み付ける。


「だっ…哲平くっ…ぐふふふ、もーほんと最高!!
どんだけ瞳のこと、っあはははははは」


食堂で、人目も憚らず大爆笑してる2人を
拗ねながら見つめる。








…数時間前。


叫んで立ち上がった俺を、講義室にいた
ほとんどの生徒が振り返った。


我に返った俺は有り得ねーくらい恥ずかしくなり
すぐに席に着いたけど、翔太が爆笑し始めて、
その爆笑が腐ったミカンのように広がり始めたのと、
ようやく笑いの引いた講義室内で、
教授が俺に向けて放ったとどめの言葉。


「さっきからもひとり言を連発していたな。
夏が近くて浮かれてるのも分かるが…
…寝言は寝て言え?」


43歳独身、趣味は帽子集めのハゲジジイから
言われた言葉に再び笑いの波が襲って、
さんざんな講義になってしまった。


そして。


残りの講義中も、隣でひーひー言いながら
爆笑してやがった翔太。


講義が終わると声も堪えず爆笑しやがって、
挙句の果てに、LINEで呼び出した
花村さんにそっこーチクるという始末。


そして2人で爆笑し始めて、今に至る。


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