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兄の狂気
第7章 崩 壊






そう思うようになり、
一旦頭を落ち着かせようと家に帰った。


すると瞳の兄貴の方から動きがあった。


「哲平、あんたにお客さん」


母親に呼ばれ、期待を胸に玄関に行くと。


いたのは、瞳の兄貴。


…瞳だと喜んで家に上げるよな、
紹介してあんだから。


襟首を掴んで外に連れ出され、
人気のない所で漸く離された。


瞳の安否を問いただすと思いきり腹を殴られた。


地面に蹲った俺を、瞳の兄貴は無表情で蹴り続けた。


「…憎いよ」


ドスのきいた低い声。


「お前が憎くて仕方ない…
さっさと出てけよ…瞳の中から。
瞳は俺のものだ…二度と近付くな」


そんな…事。


「っ、嫌だね…誰が出てくかよ、瞳は俺んだっつの。
あんたが出てけよ、近親相姦は犯罪ですよ?」


服の砂を払い何とか立ち上がり、
瞳の兄貴を睨みつける。


頬を殴られたから、思いきり殴り返した。


「っ…瞳に、会わせてください」


「はっ…誰が」


なぁ瞳…どうしたらお前を助けられる?


口元の血を拭って瞳の兄貴を睨み上げ、
…ふと気付いた。


わざと無抵抗で殴られ、地面に倒れて蹲る。


…タイミングよく行ってくれてたら一番いいんだが。


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