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兄の狂気
第7章 崩 壊
蹲った腕の中でスマホを起動し、
翔太に電話をかける。
すぐに出て、何かほざいてる翔太を無視し
電話口に向かって思いきり叫んだ。
「今すぐ瞳ん家行け!頼む!」
「…あっ!?」
「…っ!?何を…」
覗き込んで来た瞳の兄貴を思いきり殴る。
少しでも時間稼ぎになれば…
「…っそ、んの野郎!」
そこから殴り合いを始め、
血を流しながらも耐え続ける。
口の中が血の味して、口元を拭うと
血がべっとりとこびり付く。
…やべぇぞ。
「瞳の事っ…なんにも分かってねぇ癖に
彼氏ヅラしてんじゃねぇ…」
「こっちのセリフだクソがっ…
兄貴のくせに妹好きになってんじゃねぇ!」
「はっ…義理だよ、義理。
しかも両親は俺達の事捨てて出てったんだぞ、
瞳には教えてねぇけど」
「っ…」
まさかの言葉に目を見開いた。
義理?
捨てられた…?
「違うだろ…瞳から聞いた話と違う」
俺は瞳から、両親は仕事で海外にいるって…
「言う訳ないだろそんな事。瞳は繊細なんだよ」
義理の兄だという事も、知らなかった。
「あんな可愛いのに好きになるなって方が無理。
…じゃあ離れろってか?離れられる訳ねぇだろ。
義理でも、俺達は兄妹なんだよ」