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兄の狂気
第7章 崩 壊







俺の胸ぐらを震える手で掴んで
感情を押し殺すような声で言う瞳の兄貴。


「…だからって瞳を犯すのは違うだろ」


「…は?犯す?俺は瞳を愛してんの」


「…笑わせんなよ」


胸ぐらを掴まれてる瞳の兄貴の手を掴んで離させる。


「相手が嫌がってる時点でレイプだろ。
勘違いしてんじゃねぇ」


俺の言葉が癇に障ったのか、
首を掴まれて表情を歪める。


「っ…は、…っ」


更に力を強められ、息が苦しい…


すんでの所で瞳の兄貴の足を蹴り上げ、
酸素を求めて荒い息を吐き出す。


かなり効いたらしく蹲ってる瞳の兄貴。


…今の内。


よろけながらも立ち上がり、瞳の家に向かって走る。


「…っくそ!待て!」


…腕を折ったかもしれない。


走りながら、尋常じゃない痛みを与えてくる
右腕を左手で支える。


瞳の家に着くと、翔太と花村さんが
丁度玄関の扉を開けている所で…


「…きゃっ!?哲平くん!?」


「わりっ…ありがと!」


靴を脱ぎ捨て廊下を走り、階段をのぼって息をつく。


痛い…体中、痛い。


どこだ…?瞳がいる部屋…


すると…聞こえた。


「助けて…」


小さくか細い…助けを呼ぶ、瞳の声が。


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