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兄の狂気
第8章 感 情







瞳SIDE


お兄ちゃんに抱かれ始めてからずっと、
あたしは哲平の名前を呼んで抵抗し続けていた。


最初の頃は頬を叩かれたり首を締められたり、
もしくはイかせてくれなくて、


「俺を求めたらイかせてやる」


って言われたり。


哲平と出会って恋して、
お兄ちゃんへの感情が分かった。


お兄ちゃんの事は好き。


だけどそれは恋愛の好きじゃない…


家族として…兄妹として、大好き。


お兄ちゃんは多分、
あたしにマインドコントロールをしていた。


あたしの16歳の誕生日のあの日…
お兄ちゃんはあたしにこう言ったんだ。


「瞳。お兄ちゃんの部屋で一緒にご飯食べようか」


それまではお兄ちゃんから酷い扱いを受けていて、
嫌われてるんだと感じていた。


いつもなら、物を借りようとする時も
勉強を教えて貰おうとする時も、


「近寄んなブス。入ってくんじゃねぇ」


なんて言われていつも泣いていた。


どうして、お兄ちゃん…


どうしてどうして。


お兄ちゃんは瞳の事嫌いなの…?


あたしはお兄ちゃんに好かれようと頑張って
酷い事を言われてもめげずに近付いて…
それでも酷い扱いを受け続けて泣いて、
諦めかけた時に言われたその言葉。


嬉しかった…凄く凄く。


だから迷いなくお兄ちゃんの部屋に足を踏み入れた。


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