この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
兄の狂気
第8章 感 情
哲平のところに行くんだ。
「お兄ちゃん…行かないで」
なぜかそう感じて、初めて引き止めたあたしに。
「邪魔者、排除してくるから…」
そう言って扉を閉めたお兄ちゃん。
鍵はかけられなかった。
かけられなかったけど、あたしの身体は
ベッドと重い鎖で繋がれ、扉まで届かなかった。
ずっとずっと泣き続けて、
生きる気力を失ってベッドに身体を横たえていた。
もう…いい。
お兄ちゃんが帰って来たら舌噛んで死んでやる。
そう思って、何とか身体を起こして
壁に寄りかかっていたら…
来てくれたのは、哲平だった。
「瞳!」
声ですぐに分かった。
そして、入って来てくれた哲平の姿を見て…
涙腺が崩壊してしまった。
あたしを確かめるように抱き締めてくれる腕、
心底安心したような優しい瞳、
求めていた哲平からのキス。
もう絶対離れたくない。
泣きながら傷だらけの哲平を抱き締め、
改めて哲平のことが好きだと実感した…