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兄の狂気
第9章 永 遠
***
「こんにちは」
「あっこ、こんにちはっ」
「妊娠、初めてですか?身体強ばってますよ」
「あ、えと、はい…、すごく緊張してます…」
優しい笑顔で声をかけてくれた、
隣のソファに座ってたものすごく綺麗な女の人。
その隣には、これまた恐ろしいほど
かっこいい男の人がいる。
芸能人…?
信じられないくらい顔が小さくて肌が綺麗で、
同じ人間なのかと思うほど顔が整ってて…
同じパーツ持ってるはずなのに、とぼんやりと
お2人に見とれていると、女の人が柔らかく笑った。
「あたし、2人目なんです。子育てはすごく大変だけど、
好きな人との子だって思えば、頑張れますよっ」
好きな人との子、かぁ…
そうだよね…
左手の薬指にはまる指輪を見つめながら
哲平も来ればよかったのに、と思う。
「あたし今、旦那さんと喧嘩中なんですよ。
面白いくらいくだらないことでなんですけど」
「あらっ、そうなんですかー…。
あたし達もついさっきまで喧嘩してたね。
ねぇ蒼汰」
「…知るか」
言いつつ女の人の肩に頭を預ける男の人。
何この人達…ラブラブだ。
「どうして喧嘩してるんですか?」
「…、えーと。てっぺ…旦那さんが、
子供生まれるの楽しみすぎるらしくて
ベビー服いっぱい買って来るんですよ。
会話も赤ちゃんのことばっかりだし、
ちょっとつまづいただけで
「子供に負担かかったらどうすんだ」って。
ちょっとはあたしのこと考えてくれてもいいのに…
だから拗ねて置いて来たんです」