この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
まのめのロイン
第2章 答
胸が張り裂けそう、という言葉がある。
張り裂けそう。
そうだ。張り裂けはしない。張り裂けそう。
だから、辛い。哀しい。切ない。
だが、ロインのは張り裂けて、張り裂けて、張り裂けて、何度も張り裂けて、ぼろぼろになっちまって、縫い合わせてもそのすぐそばから破れ、溢れ出てしまう。
そんな哀しみを幾夜も過ごして、過ごして、過ごして、百億年も過ぎたらそんな顔になるのかという表情なのだ。
初めて奴と会った時、俺はただ奴の表情に怯えただけだった。
だが、こうしてロインと過ごして来た今はわかる。
奴の哀しみを。
どうして奴が問うのかを。
「何故」と。