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第9章 欲望

「何って、ハッピーエンドの道具だよ」

　グリーディが私に近づく。
　身動きできずにいる私に。

　ゾッとするような笑みを浮かべて。

「や……やめて！　来ないで！」

「何を言っているんだい。さっき自分で言ってたじゃないか。二人で開けるって。開いてあげるよ……キミの扉を」

「い……嫌あっ！」

　グリーディーの舌。
　甘い吐息といっしょに私の首筋で踊る。

「あ……あ、は……あ、ああっ！」

「優しくされたこと、ないだろ？」