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まのめのロイン
第2章 答
優子について少し説明しておこう。
優子と書いて「やさしこ」と読む。嫌いなものは自分の名前。それだけでもうかなり可哀相な女の子だ。高校二年。
初対面の相手は当然「ゆうこ」と呼ぶ。彼女が自分でそう自己紹介するからだ。
ますます可哀相になる。
俺の名前は石垣用。
「よう」ではなく「もちう」と読む。
彼女と同じ系統の名前で、おそらく親も同じ系統のネーミングセンスの持ち主だ。
だから、優子の気持ちはよくわかる。
だが彼女ほど自分の名前は嫌いじゃない。
しかし、俺についてのことなんかはどうでもいいな。
今は優子についてだ。