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まのめのロイン
第2章 答
異常事態――そりゃそうだ。
目の前の空間に、なんかワケのわかんないものが形を成しつつあるのだ。
優子はその怪奇に対して、ある程度の心構えはできていた。
そう、心の準備はできていた。
できていなかったのは心ではない方だ。
たった一人でなんてどうかしてるぜ。
これは自戒の念も込めてそう思う。
言われたはずだ、「一人では絶対読むな」と。
優子がブルっちまったのはつまりそういうことだ。
今、目の前に起きている出来事。
とうてい信じられない。
半信半疑だったことが、悪い冗談が冗談でなく、ただの悪い別の何かになってしまった。
それなのにすがる腕がない。
顔を埋める胸がない。
傍には誰もいない。
準備を怠るというのはそういうことだ。