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- RyuKa -(心をあげる リライト)
第16章 リライターあとがき kurona
心と心は哀しいぐらい断絶している。
他人からは心は見えない。
舞香は人非ざるものRyuKaとばかりか、恋人同士でありお互い愛し合い、信頼をしていた琉迦とすら断絶している。
死んでしまった人の心はわからない。
では、生きている人の心だったら理解できるのか。
男にも心はある。
女にだってある。
でも、お互いの心がどれほど通じているかと聞かれたら……。
心と心、それは交わることがない。
心と心の間には絶望的な隔たりがある。
そして、断絶しているからこそ「心をあげる」なのだ。
そこに哀しみと切なさがある。
だから、どんなに幸福になっても寂しさがつきまとうのだ。
それをRyuKaという人造人間SINの目を通して描くことができるのではないか。そういう試みがリライト版の「心をあげる」である。
心とは何?
人じゃないから心がないのか?
人なら心はあるの?
生きていないと心はないの?
死んでしまったら心はどうなるの?
心の中には何があるの?
意識、言葉、思考、自我、記憶、思い出、夢、希望、喜び、悲しみ、怒り、絶望、そして……。
人は心を持ち、心を育み、やがて新たな心を生み、育てて、そうやって今までを生きてきた。
笑うことを憶えた赤ん坊。彼らはその心を誰から受け取ったのか?
そして彼らの笑顔に親もまた同じ物を受け取る。
心を貰い、心をあげる。
誰もが、みんな。
そして僕らは――