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第15章 嵐の夜に

「千夏ちゃーーーん！」
旅館の玄関先に立つ啓太が私に手を振りました。

ど･･･どうして啓太がここにいるの？

私は動揺しつつも啓太に手を振ります。


雨合羽とブーツを脱いで、啓太は旅館に上がります。

グレー色の山岳救助隊の制服を着ています。

「千夏ちゃんが無事でよかったよ。　スマホに連絡しても、ぜんぜん応答が無かったからね」
そう言って啓太は笑います。

ずっと全裸でセックスしてて、スマホの着信に気づかなかったよ･･･

「と･･･ところで啓太は何しに来たの？」
私はおずおずと啓太に尋ねます。

啓太は山岳救助隊の隊員ですが、その基地は梅ノ山温泉郷からは遠く離れているはず･･･

「この辺り一帯が豪雨だからね。　万一のことがないかどうか･･･山岳救助隊から僕が派遣されて、消防や警察と協力してパトロールをしてるんだ」