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双子の月
第3章 三夜
 朋子は腰が抜けそうだった。


「あ、あ、あなた・・・誰?」



 まるで鏡を見ているような錯覚に陥る。

 その声の持ち主は、朋子がお風呂上がりに見る自分なのだから。


 「わたしはあなたよ。言ってみれば、わたしはあなたの分身。」

 「でも、あなたはわたしの分身でもあるわね。」と笑った。



 「今日、あなたはわたしと契約したのよ。覚えているわね。」



 「えっ?契約なんかしてないわ。それに契約書なんてどこにもないし、書いた覚えもないわよ。」

 ちょっとムッとして言葉を荒げて言った。



 「さっきしたじゃない。覚えてないの?」



 「もちろん契約書なんかないわよ。それはこちらの世界での契約だから。」



 「あなたが契約を破棄するのは勝手よ。でもこの契約ってのはあなたが死ぬまで続く契約なの。もちろんそれを破棄しても関係ないのよ。なぜかというとあなたは絶対にこの契約に従うから(笑)。」



 「それってひょっとして悪魔と契約したってこと?」


 困った顔をして朋子は恐る恐る聞いてみた。


 「あはは。違うわよ。何言ってんのよ。悪魔とか天使とか、あなたテレビの見過ぎよ。うまく言えないけどこれは時間のチューブのような世界があってね。それであなたの世界とわたしの世界はつながってるの。どちらかというと物理的?にね。」

 もう一度朋子が聞いた。


 「タイムマシーン?」


 「いいえ。そうじゃないんだなぁ~。まぁ体験してみて。だんだんわかってくるよ。」


 「体験?体験してから契約でもいいんじゃないのぉ?クーリングオフとか使えるのかしら?ねっ!ねっ!」


 朋子の話しも終わらないうちに。

 「まず服脱いで。全部よ。」

 もじもじしながら朋子は。

 「わたし、レズの経験とかないし・・・。どちらかというと男性の方が・・・」


 笑いもせず全裸になった朋子の手を握ると「さぁ行って!」と言った途端、朋子は気を失っていた。
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