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下剋上ラバーズ
第2章 めんどくさい隣人
――で、つまるところ、真相は。
『ゴキブリかよ……』
ゴキブリだった。
たった今、丸めた雑誌で仕留め、目の前で動かなくなった黒光りする奴を力なく眺める。次に、リモコンやら目覚まし時計やらヘアアイロンやら割れた皿やら、あらゆる物が投げ捨てられて散らかったカオスな部屋を見回す。
……こいつ一匹のためだけに、あんなに泣きわめいてこんなに暴れて、果ては俺の額を殺ったってのか。
そう考えると、やるせなくなると同時、だんだん腹が立ってきた。俺はティッシュで奴の死骸を掴み、透明なポリ袋に放り込むと、部屋の隅でへたっている女に振りかざす。
『いやああああやめてえええ近寄らないでえええ!』
『うるせえ! こんなもんで大袈裟にピーピーピーピー騒ぎやがって。ふざけんな!』
『しょ、しょうがないじゃん、キモイんだもん……!』
『だもんじゃねえんだよ。こちとら頭かち割られかけてんだよ。痛すぎて一瞬走馬灯見えたレベルなんだよ』
『そっちこそ大袈裟だなあ……。ただのたんこぶごときで』
『ああ?』
『あたしがわるうございました! ごめんなさい!』
『ゴキブリかよ……』
ゴキブリだった。
たった今、丸めた雑誌で仕留め、目の前で動かなくなった黒光りする奴を力なく眺める。次に、リモコンやら目覚まし時計やらヘアアイロンやら割れた皿やら、あらゆる物が投げ捨てられて散らかったカオスな部屋を見回す。
……こいつ一匹のためだけに、あんなに泣きわめいてこんなに暴れて、果ては俺の額を殺ったってのか。
そう考えると、やるせなくなると同時、だんだん腹が立ってきた。俺はティッシュで奴の死骸を掴み、透明なポリ袋に放り込むと、部屋の隅でへたっている女に振りかざす。
『いやああああやめてえええ近寄らないでえええ!』
『うるせえ! こんなもんで大袈裟にピーピーピーピー騒ぎやがって。ふざけんな!』
『しょ、しょうがないじゃん、キモイんだもん……!』
『だもんじゃねえんだよ。こちとら頭かち割られかけてんだよ。痛すぎて一瞬走馬灯見えたレベルなんだよ』
『そっちこそ大袈裟だなあ……。ただのたんこぶごときで』
『ああ?』
『あたしがわるうございました! ごめんなさい!』