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夢想姫の逃避録
第9章 消えたい
しばらくすると、ユウガが緋奈の唇からゆっくり離れた。

その瞬間だった。

フラッと緋奈に覆いかぶさるようにユウガが倒れこんできた。
緋奈はびっくりしながらも、緋奈自身の身長よりも大きなユウガを素早く抱きとめた。
でも…やっぱり重い…!!

すぐにユウガを座らせて桜の木にもたれさせた。
顔が真っ赤で凄く苦しそうに肩で息をしていた。
よく見ると尋常じゃない程の汗もかいていた。

「ユウガっ!? やだ…どうしよう…ユウガしっかりして!!……あっつ!! 」
ユウガのおでこに手をあてると、飛び上がりそうなほどとんでもなく熱かった。
鉄板とまではいかないけども、異常な程の熱を感じてすぐに手を離してしまった。

「はぁ…はぁっ……緋…奈ぁ……」
意識が朦朧としながらも、ユウガはオロオロする緋奈を心配するように力無い手で緋奈の手を握った。

「ユウガ…!待って…すぐに家連れて行くから!」
でもそんなこと出来る訳がなかった。
倒れこんできたユウガを支えるだけでも精一杯だった緋奈には、ユウガを家までおぶさって行く程の力も支えながらあるいて行く力も持っていなかった。
それでもやるしかなかった。
とりあえず、ユウガが立ち上がれさえすればいけるかも……!

「ユウガ立てる?せーのっ!」

緋奈はユウガを起こそうとするも、ユウガ自身立ち上がれる程の力が無かった。
すぐにユウガは尻餅をついた。
ユウガに立ち上がれる力が無いと知って、緋奈は不安になって頭の中がパニックになった。

「どうしよう……どうしよう……やだ…ユウガぁ……やだよ……どうしよう……!」
不安な気持ちが爆発して、涙が溢れてしまった。
身体の震えが止まらない。
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