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夢想姫の逃避録
第9章 消えたい
そんな緋奈を見てユウガは苦しそうな顔で額から大量の汗を流しながらも、肩で息をしながらも緋奈を抱き寄せた。
ユウガの胸の中に顔を埋めるような形になった。

「ユウガ…ひっく…う…え…っく…ごめ…ん…ね…」
「はぁ…はぁっ…出来るか…わかん…ねえけど…!テレポート…やっ…て…みる…」
「そんなことできるの!?」
「わかんねえ…でも…それしか…方法ねえ…緋奈…こっち…」
緋奈は涙を手で拭ってユウガに抱きついた。

すると、目の前が淡い緑の光に包まれた。

眩しいっ!
緋奈は目をギュッと閉じた。

「……はぁ…はぁっ…でき…た…」

気付いた時には家のベッドの上だった。
凄い……!一瞬で家の中に移動できた……!

でも今は驚いている場合じゃない!

「すぐに準備するから待ってて!」
ユウガの靴を脱がせてまずはベッドにちゃんと横になるよう、支えて誘導して寝かせた。

「緋奈…はぁ……はぁっ…」
さっきよりもボーッとした様子だった。
もしかして、力を使う度にユウガの体力も消耗するってこと…?

「もう喋っちゃダメ!大丈夫!緋奈がなんとかするからね!」
ユウガは生気の無い目で緋奈を見つめると、ゆっくり頷いた。

それから緋奈は家中を走り回った。
ユウガの着替えや氷枕や濡れタオルなどかき集めた。

多分、風邪だと思う。
でも緋奈は病人を看病したことなんて無かった。
それでも大切な人を助けたくって一心不乱に緋奈は使えそうなものを探し回った。
無い頭で熱が少しでも下がる方法を考えた。

とりあえず、汗でびっしょりのユウガの服を着替えさせて、濡れタオルで汗を拭いた。
エッチの時にユウガの服を脱がせた事あったけど、その時感じた恥ずかしい気持ちは微塵も感じなかった。
ただ、ただユウガを助けたい一心だった。

「ユウガ…大丈夫だよ…大丈夫だからね…」
いつもユウガが緋奈が心配しないようにそう声かけ続けてきてくれた事を思い出して、緋奈もユウガに優しく微笑みながら声をかけた。
そんなユウガは、相変わらず肩で息をしながら、気だるそうに腕を自分の目の上にあてていた。
時々、咳もしていた。
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