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夢想姫の逃避録
第9章 消えたい
こんな弱った姿のユウガ久しぶりに見た……
もしかしたら、緋奈が荊で攻撃したり、短刀でユウガを刺した時以来かもしれない。
緋奈はその時の事を思い出してまた半べそをかきながらも、ユウガの枕を氷枕に変えたり、額に氷のうをのせたり、濡れタオルで汗を拭っていた。

「緋…奈…はぁ…」
「大丈夫。大丈夫だよ……」
「ごめん…な…はぁ……っぅ」
「なんでユウガが謝るの?しょうがないことなんだから謝らなくていいんだよ?」
ユウガはベッドの中から手を伸ばしてきた。
緋奈はその手を優しく包み込むように両手で握った。

「緋奈の…事…はぁ…守らなきゃって…はぁ……はぁ…力使い…過ぎた……はぁ…」
嗚呼やっぱりそうなんだ…
緋奈はそう思いながらも無言でゆっくり頷きながら聞いた。

「ごめん…はぁ……はぁ…こんな…寝てる…場合じゃ…ねえのに…守らなきゃ…いけねえのに…はぁ……」
気だるそうでも、その顔は苦渋に満ちていて、悔しそうにしていた。
緋奈は下唇を噛んで泣いた。
ユウガの顔を直視する事ができなくて、俯いたまま首を横に振った。

緋奈は責任を感じた。
ユウガを苦しめてしまったのは緋奈のせいだ。
でも緋奈はユウガが心配しないようにさっきより手をギュッと握って、顔を上げた。
泣き顔でもちゃんと笑顔を作って、ユウガに大丈夫だよ、心配しないで、安心して眠ってって言い続けた。

もうこれ以上ユウガに心配かけたく無かった。

緋奈はユウガが眠りに落ちるまでずっと側にいて看病した。
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