この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
愛那ちゃんの親は資産家だから、愛那ちゃんが不利になるような状況になっても裏でもみ消しているみたい。
大事な社長令嬢で跡取り娘だから何かしたらタダじゃおかないって学校側を脅したっぽい。
前々から、愛那ちゃんの親の会社のマークのピンバッチみたいなものをつけた黒服の男の人たち2人組と廊下でよくすれ違っていたし、職員室と校長室に入っていくのを見かけたこともあった。
しかも、出てきた円堂先生や他の先生、校長先生の顔面が真っ青になっているのを見た時は、もう誰も助けてくれないんだって確信した。
そんな時、バイブ音がした。
スマホを見ると、LINEがポップアップ表示されていた。
クラスのグループLINEだった。
嫌な予感がした。
ずっと緋奈に対する罵倒や悪口しか書かれていないから、開くのが正直怖かったけど、見てしまった。
案の定、多くのクラスメイトからの罵倒や悪口が連なっていた。
「死ね」「キモい」「消えろよ」「もう学校来んな」「格好も喋り方もキモいからマジ目障り」
これだけならまだいつものこと。
だけど次の瞬間、緋奈は目を疑った。
「えっ……!?」
なんと、緋奈が愛那ちゃんたちに踏みつけられてる写真がLINE上で氾濫していた。
膨大な写真がどんどんトーク上を流れていく。
どうやら、緋奈が踏まれている間、野次馬たちがこっそり面白半分でスマホで写真を撮っていたらしい。
冷や汗と動悸が止まらなかった。
緋奈は怖くなって震える手で急いでLINEの通知を切った。