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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
真っ黒のローブ姿の人影は、力なくベッドに横たわる緋奈の目の前で片膝をついて座った。
しばらくボーッと見ていると、フードの中が少しだけ見えた。
でも暗くて顔はわからない。
それでも、グレーか銀色っぽい色をした明るめの髪が見えた。
すると、人影の左手が緋奈の頬に触れた。
優しく、包み込むように。
その手はゴツゴツしていて大きな手の平をしていた。
声を聞く間も無く、男の人だって分かった。
しかも、その手は温かかった。
こんなに優しく、温かい手に触れられたことなんて無かったと思う。
でも、一体何をするつもりなのかな……?
このまま殺されるのかな……?
それとも襲われちゃうのかな……?
そんなことを冷静に考えながらも、ジッとその男の人を見つめ続けた。
生気のない目で。
すると、男の人は意外な言葉を口にした。