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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで

「酷い傷……」
「………え…?」
「誰にこんな事されたの……?」
緋奈は意外な言葉で拍子抜けした。
だって、いきなり襲ってくるのかと思っていたんだもの。

でもボソッとその男の人は、確かに緋奈の頬を優しく撫でながら、そう呟いた。
しかも、哀しそうな声だった……。

すると、男の人の指先が緋奈の頬から顎のライン、そして唇をそっとなぞる様に撫でた。
柔らかく、ソフトタッチめに指先が滑っていく。

正直、怖い気持ちよりエッチな気持ちになった。
このまま首筋、鎖骨、胸って指が張ってきたらどうしようって……。

いや、もっといろんなトコロを触って欲しいって思った。
顔も身体中もアソコも熱を帯びて熱くなってくるのが分かった。

「フっ……顔赤いよ?火照ってる。エッチな気持ちになっちゃったんでしょ?そんな可愛い顔でおねだりしてると、襲っちゃうよ……?」
笑われた。というより、吹き出された。
しかも空いていた右手をベッドに固定して、頬杖つきながら意地悪そうにそう言い放ってきた。

「え……!? いや、そんな……!! そんなこと……!!」
「大丈夫だよ。緋奈が嫌がることはしないよ。俺は緋奈の味方だよ。俺は不審者でも強姦魔でもない。部屋に入って来ちゃったけどな(笑)」
この人自分でツっこんじゃったよ……でも、なんで暗いのに顔赤いのばれたんだろう?

それに、なんで緋奈の名前を知っているのかな?

ふと、フードの奥の口元が見えたからそこに視線をやると、そっと優しく微笑んでいたのが見えた。
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