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夢想姫の逃避録
第2章 荊の剣
泣いている緋奈の姿が見えたユウガに、ある考えが浮かんだ。

「リスクはあるけど……緋奈のためだったらこれくらい……」

「………何をする気なんだろう…?」
緋奈は涙を流しつつも、気になって荊の隙間から外の世界を覗いた。

すると、ユウガは荊から逃げるのをやめ、何かを決心したように、手を広げて立ち止まってしまった。

「……まさか……え、待って!! 」
緋奈は気づいてしまった。
ユウガは荊の暴走を身体を使って止めようとしていた。
そんな……攻撃すればいいのに……
荊はそのままユウガ目掛けて飛んでいった。

「待って!! ダメ!! いやあああああ!!!!!」
思わず目を伏せてしまった。

何かが突き刺さった嫌な音がした。
顔を上げるのが怖かったけど、緋奈は見てしまった。
荊はユウガの肩、足と腰、脇腹を貫き、残りの荊は頬と頭、腕をかすっていた。
ユウガは痛みで、大絶叫していた。
断末魔の叫び声の様だった。
それを見た緋奈はショックで声が出なかった。

「はぁ……はぁあ……なぁ……緋奈……?…緋奈が今まで……受けていた痛みって……こんな感じ……だった……のかな……?それとも、もっと痛かったよな…な……はぁ……はぁっ……」

息も絶え絶え、ユウガは荊のドームの中にいる緋奈に向けて語りかけた。
ドームの隙間から一連の光景を見ていた緋奈は、只々呆然としていた。
人間が怖くて仕方ない恐怖心が発作を起こすと、自己防衛で荊が暴走するなんて緋奈は知らなかった。
だからこそ、自分の暴走のせいで人を傷つけてしまった事実に、ショックを受けてしまった。

緋奈が呆然としたその瞬間、荊は一斉にピクリとも動かなくなった。

ユウガは自分の身体に突き刺さった荊を痛みで顔を歪ませつつ、ゆっくり引き抜いた。
そして、ボロボロの身体のまま、荊の棘で血だらけになった手で、緋奈を探すために荊のドームを必死にかき分けていった。
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