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夢想姫の逃避録
第2章 荊の剣
「ヴッ……ううっぅあああああああ…………!!!!!」
ユウガの声にもならない叫び声を聞いて、人に鋭く尖ったものを刺したあの独特の感覚を感じて、大量の血で滲むユウガの胸と赤く染まる緋奈の手と真っ白のワンピースを見て、ようやくハッとした。
緋奈はとんでもないことをしてしまったということに、ここに来て冷静になって考えられるようになった。
でも今度は思考がパニックになった。
地面に崩れ落ちるユウガを咄嗟にしゃがむ形で抱きとめて抱える緋奈。
「あ……あ……ごめんな……さい……私…また……傷つけちゃ…て……あ……あ……どう……しよう……い……やっ……」
ぐったりしたユウガを見て後悔の涙が止まらなかった。
緋奈は人を……殺しちゃった……の…?
緋奈はショックで不意にその場を離れようとしたとき、ユウガに力強く抱きしめられた。
無我夢中で抱きしめられた。
怖かった。びっくりして突き飛ばそうとしたけど、男の人の力には敵わなかった。
「ごめん……驚かせ……て……死んでねー……から……」
緋奈の耳元で絞り出すようにゆっくりゆっくりそう言った。