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夢想姫の逃避録
第2章 荊の剣


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…………。

緋奈は怖くて怖くてずっとユウガの腕の中で俯いて脅えて震え、泣きながら何度も何度も許しを乞うように謝った。
捕まえられたから、このまま殺されるんだと思っていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい…離してください……こんなことするつもりなかったの……ごめんなさい……許して……!! お願いします!! 殺さないで……!!」

ユウガは胸に深く突き刺さった短刀にはおかまいなく、離れようとする緋奈を抱きしめた。
それどころか、力無くも大事そうに、泣き続ける緋奈の髪を撫でた。

撫でられた感触にまたびっくりして緋奈が顔を上げると、ユウガは緋奈を真っ直ぐ見つめて微笑んでいた。
口角からは血が垂れていたけど、ブルーのその瞳は緋奈を愛おしそうに見つめていた。
とても優しい笑顔だった。
痛いはずなのに……どうして……?
刺したのに……どうしてここまでしてくれるの……?

「俺は……痛みは感じる。でも……これだけじゃ……死なないよ?……それに、緋奈を守るって……言っただろ?俺は……まだ……死ぬわけには……いかねーんだ……」
「なんで……どうして……こんなに痛い思いさせてるのに、酷いことたくさんしたのに、離れようとしているのに……離してくれないんですか……?」
「緋奈が遠くに行っちゃうからだよ?」
「遠く……に……?」
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