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夢想姫の逃避録
第2章 荊の剣

困惑する緋奈を見て、ユウガはまた優しい笑顔を浮かべると、こう続けた。

「だって、緋奈は……今まで誰も信じられなかったんだよね……?俺は、緋奈を守りたいって思ってるし、緋奈の味方だって思ってる。助けたいって思ってるし、おかしな話だけど、俺は……緋奈のことが大好きだよ?大好きな人だからこそ、身体を張ってでも離れないようにこのままとどめておきたかった。それに…ここで離したら緋奈、本当に人間が誰も信じられなくなっちゃって、俺の手の届かないところまで行っちゃうって思った……だから意地でも離したくなかった。身体を張ってでも、愛してるから……どんな痛みに悶えていても……その手だけは絶対離したくなかった……」

真剣に緋奈に胸の中を語るユウガの目からは、雫が何粒も零れ落ちていった。
それでも、緋奈に向けてくれるその視線と笑顔は、相変わらず優しいままだった。

「俺は自己治癒能力高いからすぐ治っちゃうよ!ほら、もう傷塞がっただろ?(笑)」
見ると、いつの間にか胸に突き刺さっていた短刀は無くなっていて、傷はどこももうカサブタの段階まで塞がっていた。

緋奈はそれを見て涙が止まらなくなった。
「良かった……本当に良かった……ごめんなさい……ごめんなさい……!!」
安心したからか、ユウガの腕の中で泣きじゃくった。
「もういいよ……俺は大丈夫だから。緋奈は?さっきの荊で怪我してない……?」
ユウガはもう一度緋奈を抱きしめる腕に少し力を入れた。
優しいんだな……こんなに酷いことたくさんしたのに緋奈の心配までしてくれるなんて……

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