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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
さっき、笑うことができないって言ったけど、理由は実は自分でもよくわかっていない。
いつの間にか笑えなくなっていた。
ただ、人間が怖いことだけは確かなことだった。
もしかしたら、親の愛情を殆ど受けてこなかったからかもしれない。
親は共働きをしていた。
しかも2人して高学歴だからか、イイトコの役職の様。何しているかはよく知らないけども。
今思い返すと、昔からいつも忙しそうにバタバタ動きまわっていて、ろくに会話も出来た試しもない。
だからか、運動会も授業参観日も来たことなんて一度も無かった。
生きるための必要最低限なことしかされなかったし、会話もしなかった。
でも、テストの点数だけは異常に気にしていた。
理不尽で最低な親だと思う。
どんなに緋奈がいい点数を採っても、「頑張りが足りない!! 」って説教され続けてきたし、逆に悪い点数を採ってしまうと酷く怒られた。時には「なんでこんな簡単な問題も解けないんだ!? お前は屑だ!! 東雲家の恥だッ!l」と、罵倒されながら暴力も振るわれていたから。
いつも「ごめんなさい……ごんなさい……許してくださいッ!! 」って顔中身体中傷だらけで、血を滲ませながら嗚咽交じりの声で泣いて許しをこいていた。