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夢想姫の逃避録
第1章 泣かないで
点数主義の恐怖政治。
高学歴一家で、緋奈は一人っ子だったからかなんなのか知らないけども、異常なプレッシャーや重圧をあの人たちからずっと与えてこられた。
親戚の前では作り笑いでヘコヘコしているのを何度も見かけたことがあるし、自慢の最愛の娘とか言っちゃってるのも聞こえてきたこともあった。
思わず笑っちゃったよね。てか、笑うしかないでしょ?
私は愛された実感なんて微塵も感じたこともない。
愛して欲しいのに、親からすら愛されない。それが辛かった。
それに、普段一切干渉してこないくせに、テストの点数を報告しなければいけないときだけ凄く怖かった。
普段は緋奈には目もくれず、仕事にしか目を向けないくせに、この時ばかりは攻撃的に豹変。鬼の形相。
殴られるんじゃないか?って思うと、怖くて怖くて仕方がなかった。
痛いのも怖いのも罵声も大きな音も大っ嫌い。
これがもしかしたら人間が怖くなっちゃって、笑えなくなっちゃった原因かもしれない。
緋奈はそう思っているよ。