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夢想姫の逃避録
第6章 可愛い
緋奈はユウガを初めて見たあの夜、不思議と怖いなんて思わなかった。

こんなの初めてだった。
人間なんて近づく者、見てくる者全てが怖かったのに。

まるで、久しぶりに会う感じがした。
それも、遠い昔に一度離れ離れになってしまったけど、やっと会えたというか……
誰よりも愛する人に再会出来た感覚っていうのかな?

胸の奥が熱くなる感覚がした。

もしかしたらユウガは、白馬の王子様とはまた違うかもしれない。
でもそれでも構わなかった。

夢の中に落ちて、情緒不安定になって、よく分からないまま近づく者全てを消し去ろうとパニックに陥った緋奈をユウガは受け止めてくれた。

刺した時も、絶対痛かったはずなのに。
それでも抱きしめてくれた。
殺されると思って怯えて泣き出す緋奈に微笑みかけて、口から血を流しながらも緋奈が離れていかないように、抱きしめていてくれた。

ユウガは優しかった。
不器用なところもあるけど、それでも優しかった。
あっちの世界の人間よりも、誰よりも優しかった。

ユウガは緋奈に可愛いって言ってくれる。
しかも、笑った顔を見せる時にいちばん言われた。

いきなり言われると、どうしたらいいか、どう反応したらいいのかわからなかった。

押し倒された時よりも、ひとつになったあの時よりも、どう反応したらいいかわからなくなるというのも、おかしな話かもしれない。

それでも、あの整った顔立ちで柔らかい笑顔を向けられたら……
2重の大きな瞳で熱く見つめられたら……
顔から火が吹き出してしまいそうになる。

笑った顔可愛いなんて、言われたことなかった。

だって緋奈は笑う事が出来なかった。
笑う事なんて、許されていなかったんだ。
誰も信じちゃいけない。
信じて心を開いて笑えば、また気持ち悪いって言われて壊される。その繰り返し。
なら、もう緋奈は二度と心の底から笑っちゃいけない。
そう思っていた。

だけど、ユウガの側にいると、自然と笑みが溢れた。
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