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夢想姫の逃避録
第6章 可愛い
「ユウガも自分の誕生日覚えてないの?」
「気づいたらもう緋奈の夢の中にいたからな」
「そうなんだ……」
あの夜の事が脳裏を過ぎりながらもそう返した。

「じゃあさ、いっそのこと緋奈の誕生日と俺の誕生日一緒にしない?お祝いし合うってことでさ!」
「お祝いし合う……?」
そんな発想緋奈には、無かった。
でも、面白いかもしれない!

「いいね!それ面白そう♪でもいつにするの……?」
「そうだなー……俺と緋奈が初めて会った日かな。5月3日。桜がまだ綺麗に咲いていた頃」 
嗚呼そんな時期だったんだって、この時やっと思い返せた。
緋奈は日付を覚えるのが苦手だったから。

「よく覚えてるね(笑)でもいいと思う!その日にしよう!それまでに料理たくさん覚えるね♪」
「んー俺は何かあげようかなー……」
「え!?何何!?何かくれるの!?」
「まだ内緒!(笑)それに、もしかしたら無いかもよ?」
「えー!ケチー!」
意地悪な顔して緋奈を転がすユウガ。
緋奈は膨れっ面になってしまった。

「かーわいー(笑)」
両手で緋奈の頬を摘まれた。
モゾモゾ動くも、離してくれなかった。
あーユウガに転がされてるなー……。
楽しいからいいんだけどね(笑)

朝食後、緋奈は忘れないようにカレンダーに記念日と書き込んだ。

これからたくさん、思い出を作っていきたいな。
緋奈は来年の5月3日に向けてそう思った。
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