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夢想姫の逃避録
第7章 知らなくていい
王子様が夢の中へお姫様を連れ去ってから幾日かが過ぎました。
笑う事が出来なかったお姫様は、今はとても幸せそうに笑うようになりました。
そう、大好きな大好きな王子様の側で、たくさん笑うようになりました。
そんなお姫様が無邪気に笑っている姿を見て、王子様も自然と笑顔が溢れました。
大好きな笑顔を近くでずっと見ていられる……そんなこれ以上無い幸せを噛み締めていました。
このまま時が止まってしまえばどれだけ幸せだろうか。
このまま誰にも邪魔されず、お姫様と2人っきりでずっと、ずっと過ごせたらどれだけ幸せだろうか。
すると、それまで笑顔だったお姫様はハッとした顔になり、やがて不安そうな表情になってしまいました。
「どうしたの?」
異変を察知した王子様はすぐに声をかけました。
お姫様は重い口を開きました。
それはお姫様がずっと気になっていた事でした。
「……現実世界の緋奈って今どうなっているの?……これからどうなっちゃうの?」