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夢想姫の逃避録
第8章 おいで
「すっげー似合ってるよ……めっちゃ可愛い…」
「あ、ありが…と…////」
「照れてる…可愛いなあ……お姫様みたい♪」
ユウガはクシャクシャの笑顔で緋奈の花冠を整えながらそう言った。
その笑顔を見て緋奈はまた照れてしまった。

「ユウガも…似合ってるよ…でも歪で…」
ごめんって言いかけた瞬間、緋奈の唇にユウガの人差し指がちょこんと触れた。

「緋奈が一生懸命作ってくれたものはなんだって俺は嬉しいんだよ?ごめんって謝るなよ。俺、今すっげー嬉しいんだからな?ありがとう」
緋奈の両手を握っていつもの優しい笑顔でそう言ってくれた。
目頭が熱くなっていくのがわかる。
そこから込み上げてくる何かしらの感情が緋奈の心を支配した。
でも悪い感情じゃないことは分かった。

嗚呼そうだ。こうやってむげにされずに受け入れてくれたのが嬉しかったんだ。
緋奈の存在が許された気がしたんだ。

「ユウガ……ひっく…っく…」
自然と涙がこぼれ落ちた。
それどころか、止めどなく涙が溢れた。
両手の甲で涙を拭っているのに止まらないよ。
「泣かないでなんてもう言わねーよ。いっぱい泣いていい。俺はここにいる。おいで?」

緋奈はユウガの腕の中に泣きながら自ら収まりにいった。
花冠と一緒に、大きなユウガの手につつまれて大切に、何度も頭をポンポンされた。

嗚呼あったかい……
ユウガの腕の中はいつもあったかいの。
今までこんな温もり知らなかった。
離れたくない……ずっとこうしていたい……何度もそう思った。

ユウガは緋奈が泣き出す時、理由を聞かない。
全部、分かっていてくれているんだ。
ずっと緋奈の心の中にいたって言ってるくらいだもんね……。
そう緋奈の中で意味付けといて、あとはただ温かなユウガの腕の中に身を任せて涙を流した。
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