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夢想姫の逃避録
第8章 おいで
「落ち着いた…?」
「うん……ありがと…」
「良かった♪……ねぇ緋奈、手出して?」
手……?
はてなマークを浮かべつつも、緋奈は右手を差し出した。

「違う違う!こっちの手!(笑)」
左手を握って取ると、緋奈の胸下まで手を移動させた。
手の甲を上にさせると、緋奈の薬指に可愛らしい四つ葉のクローバーがくくりつけられた。

「クローバーだ…可愛い…でもなんで…?薬指…え…?」
緋奈の頭が混乱状態になっていると、ユウガは緋奈にこう言った。

「2人っきりの結婚式」
「け、結婚!?」
「嗚呼、そういう儀式的なお堅い感じじゃなくてさ……これからも一緒にいさせて欲しいっていう…なんだ…その…えっと……」
「それって、プロポーズ?」
「まぁ…そんな感じ。前に告白はしたけどちゃんとした形では言わなかったからさ……」
緋奈と視線が合わない。
しかもユウガの耳赤い……
顔も少し赤い……?

ユウガも照れてるんだ……
そう思っていると、緋奈の手を握り締める力も少し強くなった。

「その……俺は前も言ったし、言い続けているけど、緋奈の事大好きだし愛してる。これからも緋奈のそばにいさせて欲しい」
「……はい////」
「……///////」
お互い顔が真っ赤になった。
プロポーズなんて初めてされた。
こんなに身体が震えるほど嬉しい事なんてなかった。

不意にお互いの目が合った。
だから、お互いゆっくり唇を重ねた。
触れるだけの優しい誓いのキス。
この先もずっと一緒にこうやっていたい。
キスをしている時、そう思った。
名残惜しそうに唇を離すと、ユウガはまた緋奈を抱きしめてくれた。
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