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蜜刻に揺れて
第2章 Whimsical star
''本日、タローは一網打尽にして参りました!''

''タローは今日も猪突猛進で頑張りました''

''今日のタローは至恭至順だと褒められました''

''離群索居のタローは膝を抱えております''

あの電話の後、毎日何度と入ってきたメールの数々。

静は四字熟語の並ぶメールに最初は流していたが、聞いたこともないそれをいつからか辞書を引くようになっていた。

想像の中のタローは軽そうなのに理知的という矛盾した人物像が出来上がっていた。

メールのやり取りが四字熟語を駆使したものになってからは、次はどんな文面が送られてくるだろうと心待ちにする静がいた。

「静、打ち合わせするぞ」

航平に呼ばれてミーティングルームに向かう。

やっと一週間が終わる。

慣れないながらも、無我夢中で航平や健作に指示を仰いで今日までやって来たけれど、やはり心の何処かで早く販売に戻りたいという思いが燻ったままだった。

資料作りは静に限っては、ほぼほぼ美和子が作成してくれている。

感謝はしているが、なかなか美和子と上手くコミュニケーションが取れず、それが伝わっているかと言われると静は自信が無かった。
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