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蜜刻に揺れて
第12章 Betrayal
どれだけの時間交わっていたのか、気づいたら寝落ちしていた。

最後の夜と同じ気怠い始まりの朝。

ぐしゃぐしゃのシーツの中で竜の匂いを感じて目を覚ました。

ぐっすり寝こけている竜はあどけない少年の様に見える。

とても一晩ヤリ尽くした男には見えない。

意地悪く耳元で囁き、焦らすだけ焦らして、激しく貫く。

思い出すだけで蜜が溢れだしてしまう。

静は想像したものを手で振り払いながら、そっとシャワーを浴びにバスルームへ向かった。

あの日とは違うのはキスマークの数。

胸と脇腹に数個の痕に安堵と一抹の寂しさを感じる。

髪を乾かして、冷蔵庫を開ける。

結局買い物したものに、一つも手をつけないまま。

ケーキをカットして頬張ると甘いクリームが疲れた体にとろけて行く。

「朝からケーキかよ」

パンツとTシャツ姿でキッチンにやって来た竜。

「食べる?お腹減ってない?」

ケーキの載ったお皿を差し出すと、竜は呆れた表情で水を飲み干した。

竜を横目にクリームを頬張ると、竜が覗き込んでくる。

「欲しい?」

「うん」

フォークでクリームを掬い上げるよりも先に竜の唇が静の唇を舐めた。

「甘っ!」

今更真っ赤になった静を見て、竜は微笑んだ。

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